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キャンパスでの実践や研究で得られた知見による
社会貢献

 2007 年度より大学・病院・公共FM研究会、EM研究会などを継続的に20回以上開催し、延べ数千名の参加を得た。推進室はこれらの研究会のコーディネーターを務め、研究会での議論をまとめ公開することによりファシリティマネジメント(FM) やエネルギーマネジメント(EM) の普及に貢献している。

CSR.

ファシリティマネジメント研究会

 大学FM研究会は、地域における大学施設の有効活用を図ることをめざし、大学施設管理関係者を対象としたFM 教育研修などを目的に2007 年より計15回開催している。2009年からは、病院FM研究会も開催している。当初はともに大学間の施設運営費ベンチマーキングなどの活動が中心であったが、BCP、データベース管理、イノベーション、サスティナビリティなど時機に応じたテーマを設定して、議論を継続している。

 また、国立大学と同様の課題を抱える地方自治体の職員へのFM教育を行うことを目的に、2009 年より短期FM 研修コースを開催している。

エネルギーマネジメント研究会

 名古屋大学でのEM のさまざまな取り組みを社会還元することを目的に、2005年より毎年報告会を開催している。省エネルギーにかかわる企業・自治体と連携し、名古屋大学を核とする省エネルギー技術の情報交換の場を設けている。

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文部科学省施設マネジメントへの支援

 2011 年文部科学省施設マネジメント推進支援事業に採択された「施設実態データベースの再整備と新たな施設評価基準の策定」、2012年の「施設情報管理と業務プロセスの精査によるFM業務モデルの構築」では、名古屋大学における成果や知見を各大学に適用できる業務へ水平展開すべく事業を進めた。これらの成果は文部科学省のホームページにも公開され、多くの大学に参照されている。また、2013年より、全国の文部科学省施設系中堅職員を対象とした研修会を開催している。

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教育・研究へのフィードバックによる循環

 名古屋大学での一連のマネジメント活動は、建築計画や環境設備の研究に基づく科学的な根拠によって、計画目標を定め、実行した結果を検証するというサイクルをもつ。さらにキャンパスでの実践は、次のプロジェクトへ継承されるとともに、新たな教育や研究へと継承され、さらに他大学や社会、そして世界に発信されていくものである。このように実務と研究が相互のフィードバックにより循環する大学ならではの一貫した活動を行っている。主な研究内容は以下である。

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〈 建築計画分野 〉

■施設運営費や維持管理手法のベンチマーキング

 全国の大学を対象に施設運営費調査を実施し、比較検証するベンチマーキングを実施。過大な支出項目など各大学の特徴を把握し、優れた運営管理を行っている大学から、学ぶべき要素を紹介した。また、全国の大学における維持管理手法の比較検証も実施した。

■近郊大学の清掃品質とコストの実態調査

 私立大学における、一元的管理による優れた事例から、国立大学の清掃品質やコストのマネジメント手法の見直しを提案した。

■ライフサイクルマネジメント導入の有効性

 ガスエンジンヒートポンプを用いた空調設備のライフサイクルコストを利用状況及びシミュレーション調査で明らかにし、学内空調機の計画保全へ活用した。

■パブリックスペースの使われ方・印象調査

 学内外の大学施設の共用空間(内部・外部)において、空間とコミュニケーション活性化の関係を行動観察調査やインタビューなどにより把握した。学内施設の計画に反映させ、さらに竣工後に検証を行っている。

■講義室の稼働率や空間の評価

 学部ごとに整備されている講義室の稼働率調査や全学的な効率的運用を提言した。また、学生・教員それぞれの講義室の印象と着座率の関係を明らかにし、設計にも活用している。

〈環境設備分野 〉

■大学施設のコミッショニング(以下Cx)の展開

 研究所共同館においてライフサイクルCxを展開し、建築設備のみでなく建築計画の視点からのCxも行う「トータルビルCx」という手法の確立を目指した。またES総合館ではレトロCxを行い、建物の使用状況の詳細分析、それに基づく省エネルギー手法の適用効果のシミュレーションと実測との比較により、適正に設計、運用されていることを確認した。

■個別分散空調システムの設計、運用の最適化

 負荷に対し過大な室内機の選定を避け、同時に室内機容量に対する室外機容量の設定の適切化を目指し実証を行った。また顕熱潜熱分離型の外気処理機と高顕熱型の個別分散空調の組合せによる省エネルギー効果、室内環境改善効果の実証を行った。さらに蒸発・凝縮温度ならびに圧縮機制御の最適化などの個別分散空調の新制御を学内建物へ適用し実証中である。

 

■蓄熱式空調システムの運用の最適化

 研究所共同館の蓄熱式空調システムに、負荷予測による蓄熱、追掛運転の最適制御を適用し実証した。この制御により過剰な蓄熱による無駄な熱源運転、蓄熱槽からの熱損失の増加を避けることができる。

 

■アースチューブの効果検証

 空気(換気用の外気)を土壌との熱交換によって夏期は冷却、冬期は加熱するアースチューブを採用した。ES総合館ではポリエチレン樹脂管土中埋設タイプで玄関ホールの環境緩和、研究所共同館では建物地下ピットを活用し各居室への換気空気を冷却・加熱するタイプ、減災館では既設のインフラ用のトンネルを活用するタイプであるが、いずれも十分な省エネルギー効果があることを実証した。

 

■エネルギー融通の検討

 研究所共同館ではⅡ期建物の一部にⅠ期建物の熱源よりの熱融通を行い全体の効率向上を目指す。また、別の地域では新設建物にプラントを設置し周辺の既存建物にエネルギー融通を行う次世代キャンパスエネルギーシステム構築に向けた検討を行い概算要求に反映している。

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