top of page

Facility Management.

経営戦略としてのファシリティマネジメント

 大学の総資産に占める土地、建物、設備の割合は90%に及ぶ。これらの資産を経営資源とし、最小限の投資で最大の効果を生む戦略的仕組みとして、ファシリティマネジメント(FM)を導入している。CMP に記載した計画を実現するためには、その原資となる財源の確保、戦略的な整備・運用を推進する実施体制の構築が必要である。推進室および施設管理部は、施設に関わる部門横断的な情報共有と経営陣による意思決定支援の役割を果たしている。その方法としては、キャンパス全体の施設点検評価(Check)を行い、具体的な目標を設定(Act)、施設計画を立案(Plan)し、計画的な財源でプロジェクトを実行し、適切な維持管理を実施する(Do)。いわゆる、PDCA サイクルに基づくとともに、中期的にも短期的にも、計画・実行に留まらず、評価と改善を伴う仕組みを実践している。

 

 

FMサイクル図修正.jpg

PDCAによるファシリティマネジメント業務モデル

施設データベースとスペースマネジメント

 FMにおいて、目標を設定しPDCA サイクルを実践する上で、適切なデータの管理は不可欠である。推進室は、1997 年に日本の大学初のCAFM(Computer Aided Facility Management)を工学部に導入し、スペースの不均衡是正や維持管理費用捻出のためのスペースチャージを実現した。2006 年には、CAFM システムを更新し、施設データベースを全学に展開した。現在では、約350 棟の施設及び関連スペースの登録と運用により、FM支援に活用している。

 本学では他大学に先駆けて、重点プロジェクトにスペースを配分するために「全学共用教育施設」の充実をはかるスペースマネジメントを行ってきた。さらに、老朽化する施設の維持保全費用を安定的に賄うとともに、新たなスペースを捻出・再配分するための全学的スペースチャージの展開を検討している。

 

 

施設データベースの管理画面.jpg

施設データーベースの管理画面

アンカー 1
アンカー 2
施設点検評価による効率的な維持管理

 施設の老朽化の進行を防ぎ、良好な環境を維持するためのPDCA サイクルを実践する上で、施設点検はその出発点となる。施設管理部は、部局の管理者に専門的知識がなくともマニュアルにしたがって一次点検ができる建物点検チェックの仕組みを開発した。二次点検では、専門技術者による施設パトロールを実施し、点検チェックの結果による緊急性の高いものから修繕を行っている。この結果、不具合件数は大幅に減少し、修繕の早期対応と計画的な予防保全を継続して行うことで、支出が抑えられている。

 この他、建物や設備・機器の保守点検、警備、緑地管理、清掃など、部局ごとに個別に分離発注していた維持管理業務を、一元化しかつ複数年契約を行うことで、大幅な経費削減を達成した。

 

 

アンカー 3
FM点検チェック図.jpg

建物点検チェックの流れ

アンカー 4
ライフサイクルマネジメントに基づく計画保全

 運営費交付金などの財源が減少する中で、安定的な財源により老朽化する施設の修繕を行う制度として、国立大学ではじめて全学一元的な中長期保全計画に基づく基幹設備などの改修を実現した。いわゆる、ライフサイクルマネジメント(LCM)の実行である。LCMの狙いは、運営維持費の最適化や環境負荷低減、障害やリスク最小化などであり、これにより建物設備の機能維持回復と長寿命化を実現する。

 毎年実施する建物点検チェックによれば、空調機や屋上防水、設備配管などについて多くの不具合が発生していた。そこで、基幹設備の15年間の保全改修計画を策定し、各建物設備の部位、機器などの耐用年数に基づくライフサイクルコストを算出した。そのデータをもとに、各部局の教育研究経費の数%を全学で徴収するなど、毎年5.2 億円をその資金として整備にあてている。自主財源を合理的に配分する仕組みとしてのLCM への取組みはますます重要になる。

 

 

施設運営費ベンチマーキング

 同質性の高い国立大学や独自の経営目標を持つ私立大学間においてデータを共有・比較することにより、自らの施設運営の状況が適正かどうかについて検証するベンチマーキングはFMの有効な手法である。2007年、東海地方の国公私立14 大学の参加を得て、修繕・清掃・警備・点検保守などの施設維持管理費と光熱水料費に関する施設運営費ベンチマーキングを行った。これに加え毎年、旧帝大など国立大学10大学施設運営費ベンチマーキングも主催している。これらの調査結果によると、旧帝大と理系国公立大では維持管理費より光熱水料等費が大きく、私立大は清掃費・警備委託費などの維持管理費が大きいことがわかる。

 さらに、2014年には、各大学の施設点検評価から、修繕実施に至る方法についてのプロセスベンチマーキングを行った。このように、ベンチマーキングにより、各大学の抱える施設運営上の共通の課題認識や固有の問題の発見、ベストプラクティスによる解決策の検討に役立てている。

アンカー 5
各大学の1mあたりの光熱水料等費・維持管理費.jpg

各大学の1㎡あたりの光熱水料等費・維持管理費

キャンパスマスタープランに基づいたマニュアルなどの整備

キャンパス・サインマニュアル2012

 全学的なサインシステムがなく、デザインの共通認識が不在だったことで、「わかりにくい」「迷いやすい」との声が少なくなかった。国際化への対応、地域との連携、高齢者・車いす使用者を含めたあらゆる人に、サインの側面からわかりやすいキャンパスを目指すため、CMP2010に基づき、全国の大学に先駆けて2013年3月に発行した。

 現況サインの課題を整理した後、共通デザインガイドラインとして設置位置、形態、表記内容、書体、色彩、素材を定め、全学案内サイン、建物名サイン、規制・公告サインそれぞれについてフォーマットを提示している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンパス・サインマニュアルは以下からダウンロード可能

サインマニュアル2012.jpg

ユニバーサルデザイン・ガイドライン2015

 ユニバーサルデザインの視点をもとに整備指針を示したガイドラインを2015年7月に発行した。留学生・外国人研究者、女性教職員、障がいを抱える学生・教職員、地域の来訪者の増加に見られるように、キャンパスには多様な来訪者が存在する。各分野の専門家、管理者、利用者の複数の視点から課題を抽出するため、障がいを抱える学生や留学生、外国人教員らとのワークショップ、専門家を迎えたシンポジウムを通じて、標準仕様や配慮事項などの施設整備指針と、改善の優先順位といったマネジメント指針の両面から取りまとめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユニバーサルデザイン・ガイドラインは以下からダウンロード可能

CUD_ch88_0722s.jpg
アンカー 6
bottom of page